『コギャル太郎』






登場人物
コギャル太郎  おじいさん  おばあさん  犬  猿  キジ 




ナレーション
「昔々あるところに、コギャル太郎という者がおりました。…ギャルなのに太郎とは
これ如何に?という質問は勘弁して下さい。作者も必死なんです。とにかく、コギャル太郎が
おりました。」



携帯で話しながら舞台に登場するコギャル太郎。ガン黒金髪、いわゆるヤマンバギャル。


コギャル太郎「てゆーかぁー、マジー?あいつマジむかつかなーい?」
舞台上にはちょこんと座っているおじいさんとおばあさん。障子を開けてコギャル太郎、中に入る。
コギャル太郎「ただいまー、みたいなー」
おじいさん「お帰り、コギャル太郎。」
おばあさん「コギャル太郎や、ちとここに座りなさい。」
コギャル太郎「えー?マジダルイんだけどー。」
しぶしぶながら座るコギャル太郎。
おじいさん「実はな、コギャル太郎。村の外れの森に鬼が出るそうなんじゃ。お前鬼退治に
行ってはくれないか?」

おばあさん「コギャル太郎や、お前の評判を上げるチャンスだよ。ご近所さんがお前のことを
何て言ってるか知ってるのかい?」

ナレーション

「おじいさんとおばあさんは、ひどく近所の目を気にする人間でした。コギャル太郎がヤマンバ化
したのは、この両親に育てられたからという噂もあるほどです。他人の目によって自分が作られている
人間は、意外といるもんなんです。」


コギャル太郎「えー?めんどくせぇー、行くかっつーのそんなもん。」
おじいさん「そんなこと言わんと。な?」
おばあさん「そうよ、お願いだから行って来てちょうだい。そうだ、行って鬼を退治してくれたら
シャベル…シャゲル…?のバッグ買ってあげるから。」

コギャル太郎「シャネル?エー、マジー?なら行く行くー」

ナレーション
「鬼退治に行くということは、下手をすると命を落とすかもしれないという認識はコギャル太郎
の中にありませんでした。ハッキリ言ってバカです。小泉総理大臣、ブッシュ大統領以上のバカです。
(人がざわめく効果音)…えー、ただ今不適切な表現がありましたことをおわびいたします。」


コギャル太郎「じゃー、行ってきまーすみたいなー」
おばあさん「あ、これを持ってお行き。一粒食べるだけで勇気元気の出るキビ団子。」
コギャル太郎「うわー、まずそー。まぁでもいーやもってくー。」


コギャル出発。不遜な態度で歩くコギャル。すると、犬が現れる。



犬「コギャル太郎さんコギャル太郎さん、カバンに押し込んだキビ団子一つ私に下さいな。」
コギャル太郎「えー?誰あんたー。」
犬「犬です。」
コギャル太郎「犬なんか役に立たないじゃーん。どっか行けっつーのー」
犬「(態度豹変)おめぇーよー、犬犬ってバカにしてんじゃねぇーよこの馬鹿コギャルが!
俺だってホントはおめぇーなんかに食いモンもらいたくねぇーんだよ!話の都合上しょうがねぇんだよ!
作者の馬鹿野郎のせーでよー!!」

コギャル太郎「はぁー?作者って何なのー?」

喧嘩をしているコギャル太郎と犬。

ナレーション
「まぁまぁそんなワケで、犬がお供になりました。」

猿「コギャル太郎さんコギャル太郎さん、カバンに押し込んだキビ団子一つ私に下さいな。」
コギャル太郎「今度は何なのー?」
猿「猿です。」
コギャル太郎「……あんたさぁ、オランウータンじゃないのー?」
猿「日本猿です。純粋な日本猿です。産まれは日光ですから。」
コギャル太郎「お父さんの名前は?」
猿「マイケルです。」
コギャル太郎・犬「外人名じゃん!」
コギャル太郎「お母さんの名前は?」
猿「エミリーです。」
コギャル太郎・犬「思いっきり外人名じゃん!」
猿「まぁええやんかー。お供になったるさかいに、キビ団子くれやぁ。」
コギャル太郎「しかも関西弁!?あんた何モン!?」
猿「ええやんええやん。」

ナレーション

「こうして猿がお供になりました。猿は猿でも関西弁を喋るオランウータンですが、ある意味即戦力です。」

キジ「(キジの扮装、しかしロングスカートをはいている)コギャル太郎さんコギャル太郎さん、
カバンに押し込んだキビ団子一つ私に下さいな。」

コギャル太郎「もー、また出たー」
キジ「あたいで最後だからよー。素直によこせよぉ。早くくれよぉ。」
犬「ふっるいタイプの不良だなぁオイ。」
猿「なぁなぁ、自分メリケンサックとか持ってんのん?」
キジ「メリケンサックもヨーヨーも持ってるよ。」
犬・猿「スケバン刑事!!」
コギャル太郎「何なのースケバン刑事ってぇー」
犬「お前知らねぇの!?さてはお前平成ベビーだろ!」
猿「年は取りたくないなぁ。まさかスケバン刑事を知らん子と仕事するとは。」
キジ「どうでもいいから、キビ団子くれよぉ。」

ナレーション
「こうしてキジがお供になりました。ちょっとアブない目つきをしたしかもメスのキジですが、喧嘩慣れはしています。」

犬「つか、鬼ってどこいんだろなぁ。」
猿「せやせや。コギャル、知らん?」
コギャル太郎「えーっとぉー、何かぁ、森の奥って言ってたみたいなぁー」
キジ「森の奥だって?じゃああたい飛んで見てきてやるよ。」
犬「おお、行ってこい。俺らここで待ってるから。」

キジはける。車座になり雑談をはじめる3人。そこにキジ戻ってくる。

猿「どやった?」
キジ「いやー、いたことはいたけどよぉ…コギャル、お前ホントにアレ倒して来いって言われたの?」
犬「どういうことだよ。」
コギャル太郎「森の奥の鬼って言われたしー、そうなんじゃないのぉー?」
キジ「鬼は鬼なんだけどよぉ、何かヒョロいんだよ。」
コギャル太郎「ヒョロい?」
キジ「なんつーか、Mr.オクレと坂本ちゃんとハリガネロックの大上足して3.14かけたみたいな鬼…」
犬・猿・コギャル太郎「わかんねぇよ!」
キジ「とにかくアレは悪いことしそうにねぇんだよぉ。」

ざわめくキジと猿とコギャル太郎、犬が何かを考えている。そして何か思いついた様子。

犬「…キジ、お前ちょっとコギャル太郎の家行って来い。そんでジジィとババァの話盗み聞きしてこい。
そんでこれに会話録音してこい。」

キジ「これ何なの?」
犬「ICレコーダー。」
猿「…もう何でもアリやな…」
コギャル太郎「ちょっとぉ、何な訳ー?」

キジ再びはける、立ち尽くすコギャル太郎達。影マイクでおじいとおばあの声。

おじいさん「やれやれ、やっと厄介モンが片付いたな。」
おばあさん「全くです。けどあなた、よく思いつきましたね。森の外れの鬼にあの子を殺させるなんて。
これならあたし達は罪に問われませんものねぇ。」

おじいさん「さーて、今度はどこから子供を誘拐してこようかね。」
おばあさん「今度は隣村からはもうヤメましょうね。またあの子みたいになってしまったらかないませんし。」

犬「……やっぱりな。思ったとおりだったよ。まぁ誘拐まではわかんなかったけど。」
猿「…ひっどいなぁ…」
キジ「あ、大丈夫。あたいこれサツに届けてきたからもうすぐ捕まるよ。」
猿「で、あいつドコ行ったん?」
キジ「何か、湖の方にふらふら歩いていったけど…あ。」
犬「…まさか。」
犬・猿「自殺!?」

ヤマンバ化粧を落としたコギャル太郎現れる。

コギャル太郎「死ぬかっつーの。」

犬「…意外と素顔は普通だな。つかお前口調…」
コギャル太郎「あぁ、あたし別に普通に喋れるよ。アレはあいつら困らせてやろうと思ってやってただけだから。」
猿「格好も?」
コギャル太郎「もちろん。あー、でも良かったあたしあいつらの本当の子じゃないんだぁ。」
キジ「あたい…何て言ったらいいか…(泣き崩れる)」
コギャル太郎「別に気にしないでいーよ。あんた不良だけどいい人…じゃないやいいキジだねぇ。」
犬「よし。俺たちと森で暮らそう。」
コギャル太郎「え?」
猿「せや、そうしよそうしよ。どーせ隣村にも帰るとこなんかないやろ。何やったら鬼の家間借りさせてもらお。」
キジ「それは無理だよアンタ…」
コギャル太郎「いーの?」
犬「いいに決まってんだろ。」

ナレーション
「ちなみにこの後おじいさんとおばあさんは未成年略取と監禁、更には殺人未遂で終身刑を言い渡されました。
悪いことはできないもんですね。取り合えず、めでたしめでたし。」






END.



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